身長を伸ばすために、成長ホルモン治療を受けさせたい方が増えています。
しかしながら、日本の皆保険制度では、病気と診断されない限り、身長が低いだけでは成長ホルモン治療は受けられません。
この記事では、小児科にて行われるヒト成長ホルモン治療の適応を判断する検査を紹介します。
*身長の記事を投稿しているサイトは、誤った情報が溢れています。医療従事者でない投稿者も多く、ただ単にサプリメントを購入させたい目的のサイトに騙されないで下さい。
ヒト成長ホルモン治療の適応基準
1.骨年齢
男子 17歳未満、 女子 15歳未満
2.身長発育
現在の身長が同性、同年齢の〔標準値-2SD〕以下、あるいは身長が正常範囲であっても成長速度が2年以上にわたって同性、同年齢(暦年齢が男子11歳以上、女子9歳以上の場合は、骨年齢を暦年齢とみなす)の〔標準成長率-1.5SD〕以下である場合。ただし、頭蓋内器質性病変、または、他の下垂体ホルモン分泌不全がある場合の成長速度については、2年以上にわたるか否かを問わず標準値の-1.5SD以下で経過している場合。
3.症候性低血糖
乳幼児で、成長ホルモン分泌不全が原因と考えられる症候性低血糖(発汗、蒼白、四肢振戦、頻脈、意識障害、けいれんなど)が見られる場合。
4.頭蓋内器質性病変、または、他の下垂体ホルモン分泌不全の合併
頭蓋内器質性病変【頭蓋部の照射治療歴、頭蓋内の器質的障害、あるいは画像検査の異常所見(下垂体低形成、細いか見えない下垂体柄、偽後葉)が認められ、それらにより視床下部下垂体機能障害の合併が強く示唆された場合】、または、他の下垂体ホルモン分泌不全の合併が明らかな場合。
5.成長ホルモン分泌刺激試験
インスリン負荷、アルギニン負荷、L-DOPA負荷、クロニジン負荷、グルカゴン負荷、または、GHRP-2負荷試験において、負荷前および負荷後120分間(グルカゴン負荷では180分間、GHRP-2負荷では60分間)にわたり、30分毎(GHRP-2負荷では15分毎)に測定した血清(漿)中成長ホルモン濃度の頂値が6ng/ml以下(GHRP-2負荷では16ng/ml以下)である場合、低反応とする。
適応基準
適応の前提として、上記の1.を必ず充たすこと。
1)2.を充たし、かつ2種以上の成長ホルモン分泌刺激試験で5.に示す低反応を認めるとき。
2)3.を充たし、かつ1種の成長ホルモン分泌刺激試験で5.に示す低反応を認めるとき。
3)2.と4.を充たし、かつ1種の成長ホルモン分泌刺激試験で5.に示す低反応を認めるとき。
ただし、2)、3)の基準による場合、2.、3.、4.の妥当性については、適応判定委員会で審査を
行う。
ヒト成長ホルモン治療継続の適応基準
1.以下の項目のいずれかを充たしたときを、治療継続の適応があると判定いたします。
a.成長速度 ≧6.0㎝/年
b.治療中1年間の成長速度と治療前1年間の成長速度の差が、2.0㎝/年以上の場合
c.治療2年目以降で、治療中1年間の成長速度が下記の場合
2年目 ≧2.0㎝/年 5年目 ≧1.4㎝/年
3年目 ≧2.0㎝/年 6年目 ≧1.2㎝/年
4年目 ≧1.8㎝/年 7年目以降 ≧1.0㎝/年
2.以下の項目のいずれかを充たしたときは、治療継続の適応はないものと判定いたします。
1)上記の治療継続の基準を充たさない場合
2)骨年齢 男子17歳以上、女子15歳以上
3)重篤な有害事象が生じたとき
成長ホルモン治療は、自費診療も可能
低身長と認められても、病気でなければ保険適応にはなりません。
身長を伸ばしてあげたい親心としては、身長はお金に変えられないと考える親も多いです。
そんな方は、小児科にて成長ホルモン投与を行ってくれます。
問題は、費用と効果です。
成長ホルモン治療は、歯の矯正くらいの値段がかかります。
薬品メーカーや主治医により投与量が異なりますので、値段は一律ではありません。
成長ホルモン注射の費用
例えば、体重30kgのお子さんに1日0.9mgを7回/週投与する場合、1カ月で25.2mg必要ですよね。
成長ホルモン剤(ノルディトロピンS注) 41380.0円 (10mg1筒) を使用したとすれば、
月に2.5本必要という計算になります。となれば、毎月10万3450円かかります。
約1年投与したとすれば、150万円弱/年間 になります。体重当たりの投与量になるため、体重が増えれば出費が増えます。身長が伸びれば体重は増えるので、右肩上がりに出費が増えてくるイメージです。
成長ホルモン注射の効果
高い費用に対する効果は気になる所。田中敏明先生が日本小児学会で報告したデータを参考にしますと、
0.175mg/kg/週を思春期前に投与した場合、
治療前:5.3cm
1年目:8.6cm
2年目:6.9cm
3年目:6.2cm
4年目:5.8cm
これは成長ホルモン分泌不全児のデータですので、自由診療を受けられる方の投与量とは異なります。しかしながら、成長ホルモン治療は続けるほど伸長を伸ばす効果が薄れることは一緒です。
成長ホルモン治療は、なるべく体重が少なく、早い時期に始めた方が良いです。
医師は成長ホルモン注射の効果に疑問?
メルクセローノ株式会社が小児科医へ行ったアンケートによりますと、75%の医師が治療反応に納得いかないと回答しています。
成長ホルモン治療は、自己管理で行われます。つまり、注射は子どもまたは家族が行う必要があります。
打ち忘れ、針嫌いで打てないなど、指示通りに治療が進まないケースも少なくありません。
また、日本の投与量は、アメリカの1/3と少ないのも要因です。
投与量は主治医の方針により異なります。小児科医もイロイロです。
成長専門外来ではない小児科では、薬品メーカーの推奨する投与量を越えてまで処方する事は少ないでしょう。
公式LINEでは
お子さんの身長や成長に関する
最新情報を配信中
公式LINE登録者特典
- 子どもの身長に関する最新研究をまとめた動画を先行配信
- 現在開発中の子ども身長アプリも先行無料配信
- 専門家のセミナーに無料ご招待
- 代表の身長の最新知見をどこよりも早く入手可能