睡眠

小学生の高学年になっても昼寝をすることで、さまざまなメリットがある!?

皆さんは、小学校に通う前のいわゆる未就学児時代、幼稚園や保育園に通っていたころことを覚えていますか。もしくは親などから未就学児時代のエピソードを聞いたことはないでしょうか。おそらく多くの人たちが幼稚園や保育園に通っていたころまでは、しばしば昼寝をしていたのではないでしょうか。もしかしたら小学生になっても、1年生や2年生のころはまだ昼寝をしていたかもしれません。

それから年月をかけて心身ともにどんどん成長するうちに、子どもは昼寝をしなくなる傾向があるのではないでしょうか。しかし、アメリカのペンシルべニア大学の研究で、小学生の高学年になっても昼寝をすることで、さまざまなメリットがあるということが指摘されているのです。

そこで今回は、小学生が昼食後に昼寝をして睡眠時間を確保することで得られるメリットについて解説していきたいと思います。

ペンシルべニア大学の研究は具体的にどのようなものだったのか

では、まずは前述したアメリカのペンシルべニア大学の研究が具体的にどのようなものだったのかについてというところから話を始めていきたいと思います。研究の筆頭著者であるペンシルべニア大学のリュー准教授は、「睡眠不足と昼間の眠気は驚くほど広範囲にわたり、眠気は全ての子どもたちのうち最大20%に影響を及ぼしている」と述べています。リュー准教授らの研究では、小学4年生から6年生の子どもたちが調査対象だったのですが、彼らの次のようなデータを取得して研究を行ったということです。

  • 昼寝の頻度はどのくらいか
  • 昼寝の長さはどの程度なのか
  • 6年生になったときに幸福感を感じるかなどの心理的な状況
  • BMIは正常な値なのか
  • 血糖値は異常を示す数値ではないか
  • その他の身体的状況
  • 学校に照会することで得られた学業成績

そして、以下のようなデータをもとに、調整を行なったということです。

  • 性別
  • 学校の所在地
  • 保護者の学歴
  • 夜の就寝時間
  • その他

そのデータの解析を結果、昼寝をする子どもたちの特徴として大きく次にあげることが判明したということです。

  • 幸福感が高い
  • 自制心と勇気があって問題行動が少ない
  • IQが高く、学業成績も良好である

さらに、最も顕著な結果は学業成績に出ているとのことです。昼寝がどのように学業成績に影響をおよぼしたのかというと、なんと1回あたり30〜60分の昼寝を1週間に3回以上した子どもたちは、6年生の成績が7.6%上回っていたというのです。つまり、上記で述べたペンシルべニア大学のリュー准教授の研究に基づいて考えるのであれば、昼寝は、子どもたちのメンタル面や学業面において大きなメリットがあるということになりますね。

ペンシルべニア大学の研究データを裏付けるようなデータも存在する!?

先述したペンシルベニア大学の研究データによって、昼寝は子どもたちの精神面と学業面に大きな影響を与えると思われる、ということは分かったものの、これがどこまで本当なのかという信憑性の部分については多くの人たちが気になる部分ではないでしょうか。

そこで、小学生の睡眠に関するペンシルベニア大学の研究結果についてもみていきたいと思います。実は、日本の調査データや研究データで、ペンシルべニア大学の研究を裏付ける可能性があるものが存在がしているのです。ここからはそれらのデータを睡眠とメンタルの観点からご紹介していくことにしましょう。

睡眠が足りていない小学生はイライラしやすい?

文部科学省が2014年に小学5年と6年の子どもの睡眠習慣を調査したデータがあります。
そのデータによると、就寝時間が遅ければ遅いほど何でもないのにイライラすると回答した割合が増加するという結果になっています。具体的にどのように増加していくのかというと、午後10時から11時までに就寝する子どもたちのうち、何でもないのにイライラすることがよくあると回答した人は、8%に留まっています。しかし、午前1時から2時の間に就寝する人は30.2%の子どもたちがイライラすることがよくあると回答しています。午前3時以降に就寝する子どもたちに至っては、なんと40%の人がそのように回答しているのです。
もちろん、住んでいる場所と小学校との距離によって早く起きなければならない子どももいれば、ある程度ゆっくり寝ていられる子どももいるとは思いますが、大学などと違って授業の開始時間が固定されているわけですので、小学生の起床時間にそこまで大きな差はないと考えて差し支えないのではないでしょうか。

そう考えると、睡眠時間が足りていないと、メンタルが安定せずイライラする傾向にあると考えて問題ないのではないでしょうか。この文部科学省の2014年のデータは、ペンシルべニア大学のリュー准教授の研究結果が間違っていると否定するに足る結果にはなっていないと言えるでしょう。

睡眠時間が多い小学生の方が成績が良い?

日本睡眠改善協議会の「基礎講座 睡眠改善学」という本があります。その本には、学生の睡眠と学力の関係性を調査した結果が記載されています。その結果を見てみると、成績が上位の子ほど早い時刻に寝ているということが判明しています。つまりこれは、勉強において良い成績を出すためには、勉強に励むことはもちろんのことですが十分な睡眠を取ることもまた必要不可欠だということの証左と判断していいのではないでしょうか。さらに同著に記載されたデータによると、小学3年生と小学6年生では、就寝時刻が遅くなればなるほど、テストの平均点が低くなるということも分かっているようなのです。
この「基礎講座 睡眠改善学」に記されている内容も、ペンシルべニア大学のリュー准教授の研究結果と大きく矛盾しない結果になっていると言えるのではないでしょうか。

昼寝であってもたくさん寝るのはNG!?適切な昼寝の時間とは

これまでのデータで、昼寝などによってしっかりと睡眠時間を確保することは、子どもたちにとって大きなメリットがありそうだということが分かりました。しかし、昼寝というのは、長い時間すればいいというものでもないんです。実は、昼寝のベストな時間というのは、約15~20分なのです。これには、睡眠が、ノンレム睡眠とレム睡眠の2パターンで構成されていることに関係します。ノンレム睡眠は脳が休んでいる状態で、もう一方のレム睡眠は脳が働いている状態になります。そして眠気を解消させるには、ノンレム睡眠を効率良く取る必要があるのです。

ノンレム睡眠には眠りの深さに応じてステージが1~4に分類されます。寝付いてから5分後くらいは眠りの浅いステージ1です。寝ついてから5分経過したあたりからステージ2、20分を超えるあたりからステージ3の眠りに突入していきます。ステージ3ともなると、深い眠りへと入っていきます。脳が深く眠るために、そのタイミングで起きたとしても、眠気や倦怠感が残ってしまうのです。しかしステージ2までで昼寝を終わらせると、ノンレム睡眠の効果で脳は休息を取れ、また眠り自体もそこまで深くなっていないのでスッキリと起きることができるのです。

まとめ

小学生が昼寝をして睡眠時間を補うことは、精神面および学業面でとても大切だと言えそうです。ぜひ昼寝の習慣を取り入れてみてください。

参考文献

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