睡眠

眠れないけど睡眠薬は怖い…そんなときは漢方を試してみよう!睡眠における漢方の効果とは

現在、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は不眠症の薬物療法の主流になっており、即効性があり効果が確実ではあります。しかし、睡眠薬の短期・長期の副作用や睡眠薬のみに依存したくないと考えている人たちも多くいます。また、中には睡眠薬の服用に対して罪の意識を持つ人もいるようです。

このような背景から、睡眠薬の減量や停止を目的として漢方を併用したり、さらには漢方薬のみでのコントロールを希望する人が徐々に増え、不眠に対する漢方治療の必要性は高まる一方です。

そこで今回は、睡眠における漢方の効果と漢方の大まかな分類について解説していきたいと思います。

そもそも漢方は不眠に効果があるのか

不眠は、体を構成する気、血、水、五臓六腑のバランスの乱れから起こるため、この歪みを治すことが根本治療につながります。五臓六腑とは、心臓・肝臓・肺臓・ 脾(ひ)臓・ 腎臓・大腸・小腸・胃・胆・ 膀胱・三焦のことです。

漢方薬は、直接に睡眠を誘導するというよりも、抑うつ、不安、焦燥などの自然な睡眠を妨げている要因を除去し、気、血、水、五臓六腑のバランスを整えることによって間接的に不眠を改善する効果があるとされています。

では、不眠の各症状について、漢方でどのように対処するのかについてみていきましょう。

入眠障害

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、女神散(にょしんさん)、抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、酸棗仁湯(さんそうにんとう)などの処方を用います。

中途覚醒や早朝覚醒、または熟眠障害

加味逍遙散(かみしょうようさん)が有効とされています。

心因反応性の不眠

大柴胡湯(だいさいことう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、四逆散(しぎゃくさん)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょとう)、帰牌湯(きひとう)などが用いられます。

精神不安、不眠、神経症、貧血、食欲不振などを伴う不眠

睡眠は肝ばかりではなく、心脾両虚による不眠症の場合もあります。心脾両虚(しんぴりょうきょとは、血を全身に巡らせる働きを持つ「心(しん)」と、消化吸収の役割を持ち気・血を生成する「脾(ひ)」の両方が虚弱になった状態を表します。
心は血を全身に循環させるとともに、神気という気を蓄えています。神気は、物事を考えたり記憶したりする精神活動の根本になるものを意味し、なんらかの原因で心に障害が起きると、神気は乱れてわけもなく不安になったり、不眠や動悸、健忘症を起こしたりします。
もう一方の脾とは小腸を中心とした消化機能全般を意味し飲食物を気、いわばエネルギーに変える機能を持つと考えられています。不適切な飲食物の摂取や心配ごとによってその機能が低下すると、食欲が出ず消化もうまくいかなくなり、ほかの臓腑に気を送ることもできなくなってしまうのです。

このように精神不安、不眠、神経症、貧血、食欲不振などを伴うときは加味帰脾湯(かみきひとう)が良いとされています。

気うつを伴う睡眠障害

厚朴(こうぼく)または蘇葉(しそ)による半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、香附子(コウブシ)や蘇葉(しそ)あるいは陳皮(ちんぴ)を使った香蘇散(こうそさん)で対応します。

漢方の大まかな分類とは

漢方には、いくつかの大まかな分類があります。大まかには次のようなものが挙げられます。

  • 紫胡剤(さいこざい)
  • 理気剤
  • 承気湯剤(じょうきとうざい)

では一つずつ詳しくみていくことにしましょう。

柴胡(さいこ)を主薬として配合された柴胡剤

柴胡には現代医学的に抗ストレス作用があることが知られており、漢方では肝の気の流れを整える生薬の一つです。一般に柴胡剤を用いる場合の目安として、自他覚的に認める季肋部の腹壁筋群の緊張を示す胸脇苦満(きょうきょうくまん)やストレスで交感神経が優位になることで脈拍が速くなる数脈(さくみゃく)が確認できる場合には柴胡剤が有効です。

そして、柴胡剤の中にもいくつか種類があるのです。主なものは次の通りです。

  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
  • 四逆散(しぎゃくさん)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 抑肝散(よくかんさん)

それぞれどのような場合に用いれられるものなのでしょうか。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は焦燥感が強く攻撃的な面が見られたり、精神の病的な緊張を示す臍上悸(せいじょうき)、精神不安、抑うつ、不眠やまぶたの細かい痙攣のある場合に用いられます。

四逆散(しぎゃくさん)

四逆散(しぎゃくさん)は両側腹直筋の全長にわたり緊張が認められたり、感情が外に発散されずに内にうっ積して起こすイライラや精神不安、四肢の先が冷える場合に効果的です。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遙散(かみしょうようさん)は自律神経失調症や神経症、心身症、あるいは更年期障害に抗不安薬として使われています。

抑肝散(よくかんさん)

抑肝散(よくかんさん)は神経過敏症状を呈するケースや、症状が慢性化し腹直筋の緊張が緩み腹部大動脈の拍動が顕著な場合に処方されます。陳皮(ちんぴ)と半夏(はんげ)を加えることで胃腸の機能失調も改善することができます。

理気剤

身体症状に加え、気分の閉塞感や息苦しい感じ、喉に何かが詰まっている感じなどを訴える場合理気剤の出番です。
理気剤には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)や柴朴湯(サイボクトウ)などがあります。この二つの理気剤にはどのような違いがあるのでしょうか。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)とは、その名の通り半夏(はんげ)や厚朴(こうぼくとう)を配合して作られ、消化管の蠕動(ぜんどう)運動を調節する効能があります。蠕動(ぜんどう)運動とは、腸の内容物を移動させる働きのことです。

柴朴湯(サイボクトウ)

柴朴湯(サイボクトウ)とは、小柴胡湯(しょうさいことう)と半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を合わせたもので、半夏厚朴湯で効果が不十分な場合に柴朴湯に変方すると効果を示すケースがあります。また、みぞおちから胸の脇まで張ったような感じや痛みがある場合にも、柴朴湯は有効とされています。

承気湯剤(じょうきとうざい)

承気(じょうき)とは、気を巡らせることを指しています。消化管運動の停滞による精神の異常を解決します。
承気湯剤(じょうきとうざい)には成分によって以下のようなタイプがあります。

・厚朴(こうぼく)・枳実(きじつ)・大黄(だいおう)・芒硝(ぼうしょう)が含まれる大承気湯(だいじょうきとう)
・厚朴(こうぼく)・枳実(きじつ)・大黄(だいおう)を含んでいる小承気湯(しょうじょうきとう)
・大黄(だいおう)・芒硝(ぼうしょう)・甘草(かんぞう)を含む調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
・大黄(だいおう)・芒硝(ぼうしょう)を含んだ桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

まとめ

もし睡眠障害を抱えているものの、睡眠薬に抵抗がある、睡眠薬が怖いという場合にはぜひ漢方を試してみてください。

参考文献

公式LINEで特典GET!

公式LINEでは
お子さんの身長や成長に関する
最新情報を配信中

公式LINE登録者特典

  1. 子どもの身長に関する最新研究をまとめた動画を先行配信
  2. 現在開発中の子ども身長アプリも先行無料配信
  3. 専門家のセミナーに無料ご招待
  4. 代表の身長の最新知見をどこよりも早く入手可能